ごあいさつ〜私達が取り組むべき課題〜
一般社団法人りぷらす代表理事
理学療法士・橋 本 大 吾
◆その人が望む新しい暮らしを実現していくために
たとえ高齢でも、介護状態が重くても、良くなる可能性が残されています。これまでスタジオぷらすで出会った利用者様の中でも、特に印象に残っているMさんは、まさに、その裏付けとなるストーリーを示してくれました。………「家の中では車椅子の生活になるでしょう」と主治医に言われ退院したMさん。スタジオぷらす利用当初は、「トイレまでは自分で歩きたい…」と目標を掲げながらも、時折「こんな身体なら死にたい」と弱気な言葉を漏らしていました。大好きだった畑仕事もできなくなり、見るからに落ち込んでいたことを思い出します。
利用開始時の介護度は、要介護3。そんなMさんも、運動の継続や定期的な体力測定、日常生活動作の練習を通じて、卒業時には要介護1まで改善していました(写真:デイサービス利用終了日に「卒業証書」が授与される様子)。
Mさんは、私達が大きなテーマとして掲げている「役割の獲得」についても大きな成果を残してくれました。Mさんは「自分の役割は自分で探し、獲得していった」ケースです。畑仕事はできなくても、草取りならできる。少しずつ少しずつ出来る範囲を広げ、後には念願の畑仕事を再開することができました。畑仕事への復帰を大反対していた家族の気持ちも動かし、Mさんも大満足の「卒業」であったことは間違いないと思います。
その人が望む新しい暮らしを実現していくために、私達は、利用者様さんの思いに寄り添い、夢・目標をしっかりとサポートしていかなければなりません。
◆おたからサポーター養成講座の仕組みを必要としている地域との繋がりを強化
おたからサポーター養成講座を修了された方が、近隣地域で開催される体操教室などで活躍しています。このように、「地域の力」となっていく住民さんの数をもっともっと増やしていきたいと考えております。
そのためにも、おたからサポーター養成講座を修了された方々(おたからサポーター)がさらに活躍できる環境づくりが課題となっています。おたからサポーターさんが、さらに楽しく健康でイキイキと活動できる仕組みが必要です。
最近では、近隣地域だけではなく、石巻市以外の方々からも「サポーター養成講座を開催して欲しい」との声を頂いております。医療・福祉領域以外の方からも関心を寄せて頂き、大きな励みになっております。
◆リハビリテーション本来の意味・目的を社会に向けて発信する
この業界のことをきちんと社会に伝えていかなければならないと 思っています。ふだん私達は当然のように「介護の卒業」という目標を掲げていますが、全国的に見ると、まだまだ「介護を卒業でき るだなんて!」という認識を払拭するに至っていません。リハビリ テーションは、単なる機能訓練ではなく、「自分らしく生きる権利の回復」です。本来の意味通りポジティブなモノです。その事実を 積極的に発信してまいります。